FRPカートップボートの船底に空けた、振動子スルーハルの穴の塞ぎ方を紹介しています。
魚探の付け替えのため、ホンデックスのTD03と言う直径4cmくらいの振動子用の穴をFRPを使って塞ぎました。
今回はなるべく予算を掛けないために、高価なトップコート(FRPの仕上げ材)は使わず、表面処理はラッカースプレーで行っています。
魚探振動子のスルーハルの穴
補修するのは3mm程の厚みの船底に開けた穴です。この穴に振動子を突っ込んで、コーキングでたっぷりと接着して使っていました。四角い跡は、このコーキングの残りカスです。
船底側には、センターキールの尖ってる部分に取り付けたため、水の流れがスムーズになるようにパテで盛り上げて取り付けていました。
キール部分に付けている銀色の物は、自作キール保護剤です。アルミフラットバーをコーキングで貼り付けているので、今回の修理のため一旦取り外しました。
FRP貼り付け前の下地作り
この穴にFRPを新たに張り付けて穴を塞いでいくわけなのですが、その前に穴の周囲を削って、強度アップと補修後の出っ張り軽減を図ります。
船内側をテーパー状に削る
船内側は10cm角程度の範囲をサンダー(ディスクグラインダー)で削りました。穴の周囲は外側のゲルコート(白色の仕上げ材)が透ける程度まで薄く削り、そこから徐々に厚めに残すようテーパー状に削ります。
周辺部分は船内のトップコート(白色の仕上げ材)を剥がす程度です。
船底外側の出っ張りを削り落とす
上で書いたように、振動子の形に合わせて船底をパテで盛り上げていたので、これもある程度サンダーで削り落としますが、後の仕上げ作業を楽にするため、外側はテーパー状には削りません。
この段階ではトップコートが透ける程度まで削り、仕上げは穴を塞いだ後に行います。
穴部分の当てを作成
FRPは、“張る”と言うくらいなので、空中部分には積層していく事は出来ません。そのため穴の部分には養生テープを使って当てになる物を作りました。
船内側から張り付けていくので、外側にテープを張ります。
この時、なるべく船底の元の形状になるようテープを張ると、後の作業が楽になります。
ガラスマットのカット
補修個所に合わせて、積層に使うガラスマットを先に切っておきます。
今回は4枚のガラスマットを重ねて張り付けていきますが、マットを徐々に大きくしていく事により、テーパー状に削った事との相乗効果で補修後の不自然な出っ張りを最小限に抑えます。
一番小さな丸く切ったガラスマットは、穴の中に丁度嵌るサイズでカットしました。
ポリエステル樹脂と硬化剤の混合
FRPで使う樹脂(不飽和ポリエステル)は硬化剤を混ぜる事により固まります。
環境温度や硬化剤の量で、固まるスピードが変わるため、気温に合わせて適切な量の硬化剤を入れます。この作業をしたのは年末の寒い時期と言うのと、作業時間短縮のため最大量の5%の硬化剤を入れました。
写真を取り忘れたのですが、100㏄程度しか使わないので、缶コーヒーの空き缶を切って撹拌容器に使っています。
混ぜ残しがあると硬化不良を起こすようなので、容器の底の角の部分まで、完璧に混ざりきるまでしっかり混ぜます。
樹脂とガラスマットの積層
ここからは実際にFRPを積層していきますが、その前にシンナーやアセトンなどでしっかりと脱脂&削りカスを取り除きましょう。
水分が残っていると極端に接着が悪くなるので、注意です。
予め切っておいたガラスマットを補修箇所に置き、歯ブラシを使い樹脂を染み込ませていきます。画像のように、樹脂が染み込むと、ガラスマットが透明になります。
樹脂はなるべく少なく、透明になるだけの量にしておきましょう。
このとき、歯ブラシでトントンして、中に入った気泡を完全に抜きます。
同様に1枚ずつ樹脂とマットを交互に積層していきます。最終的には上の画像のように4枚のガラスマットを貼り付けました。
寒い時期なので、積層後は硬化を促進させるため、ハロゲンヒーターで温めます。今回は20分程度でカチカチに固まりました。
船底外側の仕上げ
硬化後、貼り付けてあった養生テープを剥がした状態です。
ある程度元通りの形状にはなっていますが、養生テープのシワや、テープの模様が残っています。
ポリパテで凹部を埋める
盛り上がっている部分は削ればいいのですが、凹んでいるところはどうしようもないので、ポリパテを使って埋めていきます。
画像ではちょっと適当過ぎますが、後で削るため大体な感じで大丈夫です。
パリパテを削る
ポリパテの硬化後、サンドペーパーを当て木に巻きつけて、周辺部分と段差がなくなるまで削っていきます。
僕の場合は、120番で荒削り後、320番で仕上げ、最後は600番で仕上げました。
上の画像は600番までかけた状態です。
この時点で完全に段差や凹みがなくなるようにします。削りすぎた場合や凹みがある時は、脱脂後にもう一度パテを盛り付けます。
ラッカースプレーで塗装
トップコートが高価だったため、最後の仕上げはラッカースプレーで塗装しました。
塗装途中の画像はないのですが、ドライヤーで乾かしつつ、4回塗りで補修箇所がわからなくなりました。
ラッカースプレーは白色を使いましたが、ボートの元の色とは若干色味が違いました。
ボートの色はかなり薄めのアイボリーっぽい色ですが、普段はあまり目にしない船底なので、気にしないようにします。
段差や凹みはなく、形状は完璧に補修することができました。
船内側の仕上げ
ボート船内側は、外側ほど滑らかには出来ていないので、僕は適当な感じの処理で良いと思い適当にやっちゃってます。
まずは、補修したところの段差やガラスマットの毛羽立ちを、サンドペーパーで均した後、きれいに脱脂します。
その後ここに上の画像の塗料を塗っていきます。
この塗料は、補修に使ったポリエステル樹脂に、白の色粉混ぜてトップコートっぽくしたものです。
で、筆で塗ったのが上の画像です。こちらも若干色味が違ってしまいました。
面倒ならば、船内側もラッカースプレーでもいいかもしれませんが、直接踏む部分なので、耐久性のありそうなポリエステル樹脂を塗ってみました。
画像奥側にももう一箇所塗った部分がありますが、これは以前同様の方法で穴を塞いだ部分です。ラッカーを塗っていましたが、擦れて剥げてきたので、ついでに樹脂塗料を塗っておきました。
FRP船底補修のまとめ
FRPは使ったことがない人にはハードルが高いように思えるかもしれません。僕もそうでした。
実際にやってみると、適当な感じでも、しっかりと補修出来てしまうので、やり方を覚えてしまえば結構簡単です。
特に注意点としては硬化剤の量と撹拌で、夏場に硬化剤を入れすぎるとすぐに固まってしまったり、冬場に少なければ、硬化に何日もかかってしまうので、慣れないうちは外気温によって説明書通りに硬化剤を入れましょう。
きれいにやろうと思えば、最後の仕上げに時間がかかってしまいますが、穴を塞ぐこと自体は簡単に出来ます。
僕は何度か補修しているので、スルーハルの穴を開ける事に何の抵抗もなくなってしまいました。
FRPを覚えると、思い通りの艤装が出来るようになりますよ。
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