この記事では家庭用ルームエアコンを自分で取り付ける方法を紹介しています。
少し手間はかかりますが、取り付ける順番を考えながらやれば、一般の人でもそれ程難しい事もなく取り付けることが出来ると思います。
必要な工具も、一般的な物だけで取り付けることが出来ます。
また、その時に必要になる銅管や電線等の副資材についても紹介していますので、これからやってみようと言う方には参考になるかと思います。
エアコン取付前の準備
取付場所の確認
まずはエアコンの取り付ける予定の場所を確認します。
今回僕が取り付ける場所はここです。
マンションのベランダに面した部屋の窓の上になります。
画像に移っている2個所のボルトはエアコン取付用として初めから付いていた物で、今回はこのボルトを使って室内機を取り付けます。
このボルトはほとんどのマンションや戸建てではない方が多いので、その場合は後述するプレートを直接ビス固定するか、石膏ボード用アンカー等を使用して取り付ける事になります。
設置場所で最も重要なのが、屋外の室外機に繋がる配管用の穴があるかどうかなので、それも確認しましょう。
この部屋の場合は、ちょうどこの下に穴が開いていました。
上の丸い物が配管用の穴で、蓋を取るとベランダに繋がっています。
下がエアコン用のコンセントです。
エアコンは100Vと200Vの物があるので、それも確認しておきます。画像の物は200Vのタイプです。
もし取付予定のエアコンとコンセントの電圧が違っていた場合でも、簡単な工事で電圧を変えることが出来ます。
長くなるので紹介しませんが、僕の場合電圧の変更も自分で行いました。
必要資材の準備
エアコンは、本体だけ買って来ても取り付けることが出来ません。
必要になる物は事前に準備しておきましょう。
今回僕が用意したのはこれです。
画像の左側から
- ペアコイル(銅管)
- ドレンホース
- テープ
- VVFケーブル
- パテ
全てホームセンター(コーナンPRO)で売っていました。
全部で5000円程でした。
下にそれぞれ説明します。
ペアコイル
エアコンの室内機と室外機を繋ぎ、中には冷媒(エアコンガス)が通ります。
物としては、銅管の周りが断熱材で覆われていて2本1組になっています。
自分で取り付ける場合、両端がフレア(広がっている)加工されていて、ナットが付いている物を購入しましょう。
また、専用のフレア加工ツールが無いと切断する事が出来ないので、室内機と室外機の距離を測り、あまりに長すぎる物は見栄えが悪く余った配管の処理に困るので、1mくらい長目が良いと思います。長さは数種類ありました。
太さも2種類あるのですが、業務用を除きほぼ全て「2分3分」と言われているサイズなので、これを購入しましょう。もう一種類は「2分4分」と言うサイズで、僕の言ったホームセンターでは売っていませんでした。
ドレンホース
室内機から出る、結露した水を通すパイプです。
これも数種類あって凍結防止タイプなどもありますが、太くて配管しにくいので一般地の方は普通の物がいいと思います。
必要な長さは、室内機からベランダの排水溝など水を流せる所までです。
このホースは簡単に切れて、値段も安いので少し余裕をもって買っても大丈夫です。
VVFケーブル
エアコン室内機と室外機を繋ぐ電源ケーブルです。
ルームエアコンでは、室内機をコンセントに差し、室外機については室内機とこのVVFケーブルと言う電線を使い電力を供給しています。そのため、結構硬くてゴツイ電線です。
3本線で、太さ2.0スケアの物を使います。
長さは室内機と室外機の距離分なので、先ほどのペアコイルと同じだけ買っておけば十分です。
テープ
上で書いた、銅管、ドレンホース、VVFケーブルを一纏めにするために使います。
粘着タイプと非粘着タイプがあり、基本は非粘着タイプで巻いて、巻き終わりの部分をを粘着タイプで止める。みたいな感じだと思いますが、僕はめんどくさいので全て粘着タイプで巻きました。
室内機から室外機までの配管を全てグルグル巻きにします。巻き方にもよると思いますが、僕の場合は、3.5mの配管でピッタリ1本使い切りました。
パテ
壁の穴に配管を通した後、その隙間を埋めるのに使います。
油粘土みたいな物です。
室内機の取付
今回は、ヤマダ電機で本体のみを購入してきました。
機種、販売店によって違うと思いますが、取付なしで購入すると2万円も安く購入する事が出来ました。ちなみにジョーシンでは、取付なしの販売は出来ないそうです。
エアコンの梱包内容はこんな感じです。
室外機、室内機、室内機取付プレートと、あと写真に写っていませんが取扱説明書、取付説明書、リモコン等の付属品です。
パナソニックの一番安いモデルなので、冷やす温める以外の機能はありません。
上位モデルになると、換気用やホコリ排出用等、ここで説明する以外の配管が必要になるかと思います。
室内機取付用プレートの取付
取付位置の確認と、資材が揃ったら室内機用のプレートを壁に固定します。
今回は、取付用のボルトが壁から出ていたので、簡単に取り付ける事ができました。左右の上の端っこの部分がボルトです。
このプレートに室内機を引っ掛けて固定します。
注意点として、プレートは水平に設置して、室内機本体が天井や壁に干渉しない位置に取り付ける必要があります。プレートに「ここから何ミリ離す」等と刻印されているので、それ通りに取り付ければ問題なく設置できます。
今回の様に壁に取付ボルトがあるのは少数派だと思うので、その場合は壁の材質に適した、石膏ボードアンカーやビスを使ってしっかりと取り付けます。
土壁の場合は、上下の木の部分を使って取り付けるプレートも販売されています。
VVFケーブルの接続
次に配線を接続します。
壁の穴と、室内機の位置関係を考えて、配管を室内機のどの位置から出すかを決めてカバーを切り取ります。
今回は室内機右横から配管を出すので、この位置のカバーを切り取ります。
カッターナイフで切り取る事が出来ましたが、ちょっと硬かったです。
壁の穴が室内機裏に来るように設置する場合は切り取る必要はありません。
VVFケーブルを接続します。
接続箇所は室内機の前面パネルを開けた所にあります。
機種によって違いはあると思いますが、大体こんな感じの所にあります。
画像では接続が終わった状態です。
線の被覆を1cm位剥いて、色を合わせて差し込むと固定されて、抜けなくなります。
画像の接続箇所までは、本体裏面から通せる隙間があるので、そこから線を差し込みます。
室内機の取付
室内機を壁に取り付ける前に、エアコン本体についてる銅管とドレンホースと先ほどのVVFケーブルを一纏めにして、少しだけテープを巻いておきましょう。取り付けやすくなります。
室内機をプレートに引っ掛けます。
引っ掛け方は、エアコンのメーカー問わず、まず上側をプレートの上部に引っ掛けてから、下側を壁に密着させるとハマります。
ビスやボルトはないので、簡単に取り付ける事ができます。
エアコン左側から配管を出す場合は、先に配管の接続を行わないといけないので、下と順番が前後します。
各種配管の接続
室内機が壁に取り付いたら、銅管(ペアコイル)、ドレンホースを接続していきます。
まずは作業しやすくするためにペアコイルを真っすぐに伸ばし、外側から壁の穴に突っ込みましょう。
銅管はあまり極端な角度で曲げるとパイプの形が潰れて効きが悪くなったり、亀裂が入り最悪ガスが漏れるので注意してください。
画像でもわかるように、室内機から出ている銅管は、太い方と細い方で少し長さが違うので、ペアコイル側もそれに合わせて押したり引いたりして調節します。
この時ペアコイルが丸まったままだと上手くいかないので、外側(ベランダ)のスペースが狭くてもなるべく伸ばしたほうがいいと思います。
そしてここからエアコン取付の最重要作業である、銅管の接続をします。
画像の上が室内機側、下が準備していたペアコイルです。
銅管の先が広がったような形状(フレア)をしていて、ナットを締めたときにしっかりと密着する仕組みです。
上でも書きましたが、銅管を切断する時はこの形状に加工し直す必要があるため、フレア加工の専用ツールが無いと切断できません。僕は何度もエアコンの移設をやったため購入しましたが、結構高かったです。
で、2本とも締めこんだ状態がこうなります。
本当はトルクレンチを使ってやった方が良いのですが、僕はいつも感覚で締めています。
ナットのサイズは結構大きいので、モンキーレンチでやる人は大きめの物が2本必要です。
あまりにも力いっぱい締めこむとさすがにネジ山がつぶれるので、一般男性が6~7割くらいのパワーを発揮して締め付けるくらいでいいと思います。
ガス漏れさせないコツですが、配管同士は必ず一直線にした状態でナットを締めます。ちょっとでも斜めになるとフレア部分がうまく密着しません。
この時、いきなり工具を使って締め込まずに、配管を揺すりながら手で閉まるところまで閉めておきましょう。こうするとまずガス漏れする事はありません。
今回は室内機の右側から配管を出しましたが、左側から出す場合は銅管接続箇所がエアコンの裏側になるため、本体を壁に取り付ける前に接続する必要があります。
後はドレンホースも接続して、水が漏れないようにビニールテープ等を巻いておきます。
配管の引き回し
室内機側に全ての配管を接続したら、テープで全てを一纏めに巻いていきます。
なるべくボコボコにならないように、特に配管のナットの部分は注意しながらキレイに巻きます。センスが問われるところですが、僕はセンスが無いので結構ボコボコになりましたが全く気にしません。
巻き終わったら、室外機の設置場所まで配管を曲げていきますが、極端な角度は折れてしまうので、見栄えが許せる範囲で緩やかに曲げましょう。
壁の穴の真下に室外機を置くので、今回は簡単でした。
この時、配管がかなり余ってしまった場合は、室外機の横や裏で、丸く巻いておくと見栄えが良いです。
その場合、ドレンホースも丸めてしまうとホース内に水が溜まってしまうので、途中で配管の束から分岐しましょう。
室外機の接続
配管を取りまわしたら、最後に銅管とVVFケーブルを室外機に接続します。
室外機側も、室内機と同様にペアコイルとVVFケーブルを接続しますが、ドレンホースは途中で分岐させ、排水出来る場所に繋げます。
VVFケーブルの差込口は、室外機右側のカバーを開けたところにあります。
室内機と同様に、1cmくらい被覆を剥いて差し込みます。
ペアコイルも室内機同様に、真っすぐに差し込み、しっかりと締めます。
以上で、エアコンに必要なすべての配管と配線の接続が終わりましたが、最後に大事な事を行わなくてはいけません。
配管内のエアパージ
全ての配管をしっかりと接続出来たら、最後に銅管内の空気を抜いてやる必要があります。エアコンガスに銅管内空気が混ざると、色々良くないことが起こるからです。
先に言っておきますが、今回紹介しているエアパージと言う方法は環境の観点からメーカでは推奨されていません。「環境の観点」からです。
ただ、メーカーの推奨方法で行おうとすると、真空ポンプと言う結構高いツールが必要になるので、あくまで自己責任で行ってください。法律的には違法ではありません。
このエアパージでは、銅管内やそれに繋がっている室内機の中の空気を、室外機に充填されているガスを利用して押し出すという原始的な方法です。
そのため、確実に空気を抜くためには、多少余分なガスまで出してしまわないといけませんが、新品時のエアコンは配管が長くても対応できるよう多めに充填されています。
まず室外機の銅管接続箇所の近くにある、ナットの様な蓋を3か所とも外します。
家庭用のルームエアコンでは、細い方の銅管の横面に1個所、下の太い方の配管の横面と下面に2個所あります。
横面の蓋を外すと、六角レンチが差し込めるようになっていて、これがエアコンガスのバルブになっています。
太い方の下に付いている蓋は、エアコンガスのチャージや、正規の取付方法の真空ポンプを接続するためのサービスポートです。
次に、六角レンチを使って細い方のバルブを開けます。
この時全部開けるとガスが抜けすぎるので、90度回して5秒で閉じます。
開ける時間は配管の長さによって変わりますが、僕は3.5mの配管でこのくらいでやりました。各自いい感じで調整してください。
その後、太い方の下面に付いているサービスポートの芯を、空気が出なくなるまで押してエアパージ完了です。
後は両方のバルブを止まるまで全開にして、キャップを締めます。
最後に室外機のカバーを元通り取り付けて完成です。
エアコンの取り付け方まとめ
今回は家庭用のルームエアコンをDIYで取り付ける方法を紹介しました。
配管の見栄えは、やはりプロの方の方がスッキリしてると思いますが、取付自体は意外と簡単にできます。
何より、資材の購入費を含めても15,000円も節約することが出来ました。
使った工具も、DIYするなら持っていそうなものばかりです。
ただし、最後の配管内の空気の抜き方(エアパージ)については、性能や耐久性に微量の影響が出る可能性もゼロではありませんし、温暖化の原因となるガスを放出すると環境にも良くありません。
ヤフオクなどで真空ポンプのレンタルもあるので、予算と時間に余裕があるならそちらの方法をおすすめします。
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