予備検査証のないボートの船舶検査の取り方を説明します。
海で使用するボートの場合2馬力以上だと「船舶検査」が必要になってきます。ボートの購入時に「予備検査付き」と表記されたモデルを購入した場合は、簡単な手続きと法廷備品の確認だけで検査に合格することができますが、もともと2馬力以上のエンジンを付ける予定がなかった人や中古で購入した場合など予備検査証がないが、船舶検査を受けたいという人もおられるかと思いますのでその方法をまとめてみました。
僕もボートの免許は持っていましたが、初めて買ったゴムボートも2万円ほど金額が高くなるので必要ないと思い予備検査なしのモデルを購入しました。また現在のカートップボートも前の所有者が2馬力で乗っていたため予備検査がありませんでした。なのでどちらのボートも予備検査なしで検査を受けています。
検査の流れ
通常予備検査のあるボートの場合、JCIという車でいうところの陸運局のようなところに行き、軽く外観チェックと、法廷備品の確認、エンジンの始動をして平日1日で検査証を発行してもらうことが出来ます。
予備検査のないボートの場合は、上記の検査の前に「臨時航行許可」をいう物をとって、予備検査で免除されている部分の検査を自分で受けなければいけません。
- 臨時航行許可を取るのに平日半日
- ボートの耐久性や安定性などの確認のための耐久検査に1日
- 本検査に平日半日
計3日間掛かることになります。
臨時航行許可と、本検査はJCIに行く必要があるので平日だけですが、耐久検査は自分一人でするのでいつでもできます。
日数は少しかかってしまいますが内容的にはとても簡単なもので、強度の計算などと言った事は一切なく、どちらかというと実際に走ってみて壊れなければOKみたいな感じの検査です。
1日目 臨時航行許可を取りにJCIへ
検査を浮けるためにまず必要なものが上記でも書きましたが「臨時航行許可」という物です。これはこの後に行う「耐久検査」をするために必要なもので、検査を受けていないボートを一時的に海や川などで使うために必要なものです。これがないと耐久検査が行えません。
この許可を取りに「JCI」という小型船舶の検査を行っているところへ行きます。直接JCIに行ってもいいのですが、暇な時でない限りは予約優先になっているので、電話で予約してから行くようにしましょう。問題がない限り半日もかからないと思います。
船体やエンジンの検査
JCIに着いたら先ず事務へ行き、受付をします。その後検査場へ行き、船体各部の計測や、エンジンが動くかのチェックを受けます。
臨時航行の許可を取るためにも検査を受ける必要がありますが、同じボートのモデルで予備検付タイプがある場合や、別の方が同じモデルで検査を受けていた場合など、そのボートの情報がJCIにあれば、簡単な検査のみで許可が下りるようです。
僕が検査を受けたときは、ゴムボートの場合空気を入れて検査員が左右から引っ張ったり、チューブの上で飛び跳ねたりして壊れないかという、とても原始的な検査方法でした。カートップのFRPボートの場合は、超音波で船体各部の厚みを測り、メーカーがJCIに伝えている基準と同じかどうかを調べられ、その後やはり検査員が上に乗って飛び跳ねていました。
完全自作ボートの場合は、水面への落下試験や、何Kgまで荷物を積んだら沈没するかなど恐ろしい試験もあるようですが、普通に売っているボートを買った場合は余程ボロボロでない限り合格すると思います。
僕の住んでいる地域を管轄しているJCIは大阪支部というところなのですが、そこの場合下の写真のようなところで検査を行いました。
一階が検査場で、2階に事務所があります。
これと並行して法定備品のチェックもあるので忘れずに持っていきましょう。
臨時航行許可の申請
ボートの検査が終わると、手数料をJCI近くの郵便局まで振り込みに行きます。その後JCIに戻ってくると臨時航行の申請となります。
臨時航行は、許可を取ればどこでも乗れるというわけではなく、3か所まで記載できその中でしか乗ることが出来ません。あらかじめ決められている、例えば大阪湾くらいの範囲で1か所を指定できます。事前に家の近くでボートを下せそうな場所を調べておいた方がいいです。臨時航行中は申請の際に書いた目的(今回の場合は耐久検査)以外で使うことはできないので、釣りのついでにはできないようになっています。
僕は家から近い淀川と大阪湾を指定しました。
申請が終わるとすぐに臨時航行許可証がもらえます。その後後日行う耐久試験の説明と、行った試験の内容を書く報告書をもらい1日目のJCIは終わりです。
2日目 耐久試験
1日目のJCIとは違い、耐久検査は自分ひとりで行います。実際にボートを浮かべ、JCIでもらった資料に書かれている内容を試験して、その結果を報告書に書き込んでいきます。試験内容は耐久検査と安定性や復元性の検査です。
試験中は臨時航行許可証と法定備品、免許は必ずボートに積んでおかないといけません。
耐久試験
実際にボートを数時間走らせて、異常がないことを確認する検査です。
ボートによって時間が違うのか、ゴムボートの時は10時間の検査でしたが、FRPボートの時は2時間で大丈夫でした。特に10時間となると1日で行う事が出来ない場合もありますが、数日間に分けて検査することもできます。
この検査をした場所や日時などをもらった報告書に書き込むだけで耐久検査は終了です。
安定性、復元性の検査
水面にボートを浮かべた状態で片側に寄りかかったりしてボートが転覆しないか、ゴムボートの場合は一つの気室の空気を抜き、ボートを走らせることが出来るかの検査をします。
特に難しいことはなく説明通りに行えばいいのですが、試験中の写真を撮る必要があるので2人で行った方がいいです。
3日目 JCIへ本検査
耐久試験が終わり、いよいよ最後の検査です。この試験に合格すると検査証書とボートに張るナンバーのシールがもらえ、ボートに乗ることが出来るようになります。1日目と同じように電話予約をしてからJCIへいきます。
本検査
JCIに到着したら同じようにまずは受付へいきます。その後1階の検査場でこれ以上このボートの何を検査するところがあるのかと思いながら待っていると、検査員が来て検査が始まりました。
まずは前回と同じように法定備品のチェックですが、1日目に全て見ているので車の中に積んだまま揃っているかどうかをチェックされただけでした。
次にボートの検査かと思ったのですが、これも前回見ているので、車から降ろすことすらなく、破損がないかを見られるだけで終わりました。エンジンも同じく始動確認もされずに検査終了です。
検査証の発行
本検査に合格するといよいよ検査証と検査済み票というナンバーが書かれたシールがもらえます。2階の事務所へ行き書類を書くのですが、この時に航行区域と船名を決めなけば行けません。
航行区域とはそのボートの走ることの出来るの範囲のことで、一般的にミニボートの場合「限定沿海区域(可搬型小型船舶)」と言う、全国どこでも乗れるようになる航行区域を設定するのが一般的だと思います。他にも「限定沿海」と言う母港を設定する航行区域を選択する事も可能です。この辺りは事前に調べて決めておいた方がいいかと思います。
それと検査証を作る時に船名を決める必要があります。船名は必ずつけなければいけないものなので、これも事前に決めておいた方がいいでしょう。漢字、かな、数字、アルファベットが使えます。
書類を書き終わるとすぐに検査証とナンバーのシールがもらえ、これで船舶検査は終わりです。
まとめ
予備検付きのボートに比べて日数は少しかかってしまいますが、予備検査のないボートでも特に難しい事なく、費用もそこまで変わらずに検査に合格する事が出来ます。
初めて検査を受ける時にネットで調べていると、強度計算云々が必要とか書かれているサイトもありましたが、僕の場合は全く必要ありませんでした。自作ボートの場合はそのような事も必要なのかもしれませんが。
ボート購入時に予備検査をつけ忘れると後からつける事が出来ません。予備検査が無くてもこの記事のように検査に合格する事はできますが、時間と手間を考えると2馬力以上の予定が少しでもあればやはり付けておくほうがいいとは思います。
コメント